2019年11月の初めに、PhotoshopやAcrobatなどのマルチメディア系ソフトで知られるAdobe社より、「Aero」という新ソフトが公開されました。
これは「AR=拡張現実」を作成するためのソフトとなります。
簡単に言えば、タブレットのカメラ(画面)に映った現実の景色に、自分で作った2Dや3Dのデータを簡単に配置して、現実とバーチャルが一緒になった状態を作ることができるソフトとなります。
リリースされたばかりの現在ではPC版がベータ版ということですが、iPadで使えるバージョン(iOS13以降が必要なようです)が正式版としてリリースされており、なんと「無料」ソフトです。
1.まずはiPadにソフトをインストールします。AppStoreから検索し、通常のアプリと同じようにインストールします。
2.ソフトを起動したら、アカウントでログインが必要です。AdobeのIDを取得するのがおすすめですが、他にもAppleアカウント、Googleアカウント、Facebookアカウントでも連動で認証することができます。
3.ログインができると、初回はチュートリアルが表示されますので、事前に練習しておくといいと思います。2回目以降はホーム画面が表示されます。
新しくデータを作成する場合には左下の「新規作成」を押します。
4.カメラで地面(または床)などの設置平面をスキャンします。タブレットのカメラで地面等を映しながら、横方向などに動かすと、光の粒が画面にいくつか表示されます。これはAeroのAIが床面を画像認識で抽出している印です。ある程度光の粒がたくさん認識されてくると、それを囲むように枠が表示されます。
これがデータを配置できる範囲となります。大きなものや、広い範囲を扱いたい場合は多少歩きながら、この範囲を広く取っていきます。画面をタップすることでスキャンした範囲が固定されます。
スキャン画面。わかりにくいですが画面の中心に枠線、枠線より左に白いつぶつぶのハッチングが表示されています。
5.範囲が確定できたら、データを読み込みます。サンプル部品以外にも、iCloudやAdobeCloud、iPadの中のファイルアプリで管理されたファイルを読み込む事ができます。
次のようなデータが読み込めます。
・2D画像:JPEG画像、Photoshop形式(PSD/PSB)、PNG画像、SVGデータ、TIFF/TIF画像、GIF(アニメーションなし)
・3Dデータ:PSD/PSB、GLB(c)
・3Dデータを圧縮したZIPファイル:OBJ、Collada(DAE)、3DS、GlTF&GLB、FBX
特に3Dは制限がある形式もありますので、バージョンを変えたりしてトライしたほうが良いこともあるようです。
6.配置したデータを調整します。1本指タップでオブジェクトの選択、ドラッグで移動、2本指でのピンチ操作で拡大縮小、ひねりることで回転、3本指ドラッグで上下の移動になります。
7.よい位置に配置できたら、画面上部の「編集」の隣にある「プレビュー」を選択します。
この画面で、映っているものを静止画または動画で記録することができます。3Dデータ等での保存はApple系前提になってしまうので、普段使いでは静止画か動画で保存するのが適当かと思われます。3Dの場合は回り込むこともできますので、動画が生きてきそうです。
他にも、オブジェクトに動きをつけることもできるのですが、今回は割愛します。
3Dデータを試してみて気づいたこと
・スキャン範囲が広すぎると上手くいかない事が多い
iPadのメモリが2GB~4GB程度なので、そのあたりの加減もあるようです。
・3Dデータのファイル名に日本語を入れない
テクスチャ含め、できるだけ日本語のファイル名は入れない方が良いようです。ファイルの読み込みミスでテクスチャが飛ぶ事があります。
・3Dデータの作り方に注意
やはりメモリが足りない環境なので、余分な範囲や不可視部分のポリゴンは削った方が良いです。また、スキャンしたフィールドからはみ出した部分は表示されないので、適度な大きさを考慮した方がいいようです。
さらに、フィールドの下まで潜らせることも難しいので、根入れのラインを考慮しておいた方がいいようです。
ということで、Aeroを何に使うか考えてみると・・・・
・単純に完成イメージの画像を作る
・看板やガードマンの画像などを用意して、実際の道路での規制の説明画像を作る
・ヤードなどの仮置きの検討
などなど
使う人の工夫と、今後のバージョンアップで化けそうなソフトではありますので、とりあえず速報までにご紹介しました。使える環境にある方は是非試してみていただいて、いいアイデアがあったらドシドシお仕事に活用してみてください。
完成イメージとして作成
動きをつけてみた例(LRボタン押すと回転する設定)
回り込みイメージ